美味しいローストビーフを作るために実験してみた。Vol.1

美味しいローストビーフを作るために実験してみた。Vol.1

低温調理を始めると避けては通れない(と個人的に思っている)ローストビーフです。

低温調理を始めてすぐくらいに一度だけ作ったことはありますが、その経験を元に美味しいローストビーフをもっと詰めてみたいと思います。

まず、僕個人の基本的な理念として、低温調理は極力低温で、最低限必要な時間調理するという考えで、「すぐに食べたい」という場合以外は温度は極力低く、最適な時間調理するようにしています。(せっかく低温調理してるんだから長い時間やった方が得だろ的な貧乏性考え説)

というわけで、巷では2~4時間くらいのローストビーフ低温調理レシピがあふれていますが、ジューシーさを保ちながらなるべく柔らかく調理するベストな方法は何か?というところを調査してみたいと思います。

なお、使う肉は牛肉のモモブロックです。

初回のローストビーフを作った様子をザックリと

ぶっちゃけよく覚えてませんが、最初に作ったレシピと結果をわかる範囲で書きます。

二通りの作り方で作りました。

  1. 低温調理時に味付けをして炙って休ませる
  2. 肉のまま味付けしないで低温調理のあと一晩漬け込み、炙って休ませる

という二通りで作りました。

他の条件は同じで、温度を58℃くらい(うろ覚えです)で3時間ほど調理したと思います。

細かいところは覚えてないので、結果だけ話すと、

  • 1の味付けしながら低温調理したものより、2のあとから味付けしたものの方がジューシーだった
  • どちらもそこそこうまかった

低温調理を始めて間もない頃だったので、あまり細かいことは考えず、味付けしながら調理するより、調理してから味付けした方がジューシーという結果だけ得られました。

ちなみに、僕の周辺では低温調理器を使っているのは僕くらいなので、どちらも友人に振る舞いましたがともに好評でした。

今回の研究テーマ

初回で味付けはあとの方が良いということがわかったので、今回のテーマは「調理時間」です。

近所のスーパーでローストビーフ用の牛モモブロックを買ってきました。

ちなみに途中の写真は一切ありません(^◇^;)

今回は調理時間以外は全く同じ作り方で作っています。

先に結果を言っておくと、9~10時間のほうが美味しいので、24時間の方は作らなくて良いと思います。

なお、9~10時間と曖昧な表現にしていますが、低温調理で8時間以上調理するような場合、1~2時間くらいの違いは誤差だと思っていて、9時間の場合と10時間の場合で結果は判別できるレベルでは変わらないと思っています。

殺菌などの面を考えると、温度を変えず時間を少なくすることはあまりオススメしませんが、1時間程度延びる分には許容範囲としています。逆にそのくらいの幅を持っていた方が、調理の負担やストレスが少ないと思うので、そのくらいのアバウトさは必要だと思います。

機会があれば、9~12時間の1時間毎の比較なども出来ればいいですね。

今回は9時間を目標としていましたが、実際はちょっと遅れて9時間半くらいの調理だったと思います。

レシピ

材料

牛モモブロック肉 ・・・・・ 700gくらいだったかな?

ハーブ系のスパイス(ホール) ・・・・・ 適当(オレガノ、バジル、タラゴン、ローリエなどを使いました)

ブラックペッパー ・・・・・ 適当、お好みで

オリーブオイル ・・・・・ 40~80ccくらい(肉全体にスパイスを回せるくらいでOK)

赤ワイン ・・・・・ 150cc

水 ・・・・・ 250cc

ニンニク ・・・・・ 2片

醤油 ・・・・・ 60cc

タマネギ ・・・・・ 1/4個

セロリ ・・・・・ 葉側の1/2個

作り方

肉のドリップをペーパータオルなどで拭きジップロックに入れ、ハーブ系のスパイスとブラックペッパーをお好みで適当に入れオリーブオイルで浸して全体にまぶします。

今回は二通りの時間で検証するため、肉を半分にカットして、同じジップロックに入れています。

スパイスは粉末ではなく、ホールのものを使いました。ブラックペッパーは粗挽きかミルで挽いたものがよいかと。

ちなみにこの工程は必要なのかはわかりません。他のレシピを調べると、塩こしょうで下味を付けるというのが多いのですが、前回、先に味付けをするとパサつくという結果と、塩は肉の水分を出してしまうという情報があるので、それらを考慮した結果、影響が少なそうなオイルとハーブという香り付けをしてみました。
これに関しては次回の時に検証したいと思います。

ジップロックをなるべく真空に近い状態で閉じ、低温調理をします。ここで、9時間と24時間で調理時間を分けることになりますが、調理開始は一緒です。

55.5℃、24時間で設定し、調理開始。

調理中に漬け汁を用意しておきます。

まず、赤ワイン150ccを半分くらいになるまで煮詰めます。(アルコール飛ばすくらいで)

だいたいアルコールが飛んだくらいで、水250ccとニンニク1~2片くらいをみじん切りかスライスにして加え、醤油60cc加えてさらに煮詰めます。

肉の量によって漬け汁の全体の量は調整して下さい。

また、お好みで醤油と赤ワインを減らしてやや薄味付けにしたり、塩を加えてしっかりめの味付けにしたり調整して下さい。好きな野菜(にんじんや大根など)を加えても良いと思います。

5~10分くらい煮詰めたら、タマネギ1/4個スライス、セロリの葉を適当にカットし加えて少し冷まします。早めに作って調理が終わるまでジップロックで冷蔵庫に入れておいてもOK。

9時間~10時間ほど経ったところで肉を取り出します。今回は24時間バージョンもあったので、半分を取り出し半分は調理器に戻しました。

用意しておいた漬け汁に中身を移し、なるべく真空に近い状態にして冷蔵庫で20~24時間くらい保管します。今回はジップロックに残ったハーブや肉汁も一緒に混ぜました。

1日経ったところで肉を取り出し、肉の周囲をバーナーで炙り、焼き色を付けます。(バーナーがなければフライパンでもいいですが、色づけ程度で焼きすぎないようにして下さい。)

周りを焼いたあとはラップなどに包み、冷蔵庫で再度冷やします。

残った漬け汁はバルサミコ酢などを加えて煮詰めてソースにしてもOK。

熱いうちは肉汁が流れ出やすいので、冷蔵庫で落ち着いたら召し上がれ。

今回は24時間調理したものをもう一度、漬け汁に漬ける以降の工程を行っています。

完成

10時間弱調理したもの

約1日早く調理が終わったので、こちらを先に試食しました。

ジューシーで肉汁がまだ肉に残っています。

噛むと肉汁がジュワッと出てくる感じがあります。

肉の固さはややスジっぽい固さがあり、歯ごたえがありますが、良くあるかみ切れないという感じとは違います。

他はこのままで、もう少し柔らかくなるとベストかなぁ。

24時間調理したもの

10時間Ver.から1日おいてできあがったものを試食しました。

見た目も10時間のものよりはややパサついている感がありますが、食べてみるとジューシーさはちょっと少ないかなと思います。

ただ、この時点ではローストビーフとしては全然アリだし、普通に美味しいなと思いました。

肉の柔らかさは噛めば普通に噛み切れる柔らかさで、歯ごたえがないわけではなく、ちょうどいい柔らかさだと思いました。

比較

と、24時間調理のものを食べたときは思っていましたが、せっかくなので両方食べ比べしてみようと思い、両方切ってきました。

左が24時間調理のもの、右が10時間調理のものです。

正直、並べてみるまで見た目でこれだけ違いがあると思いませんでした。

明らかに右の方がみずみずしさがあります。

さらに食べてみて愕然としました。

右の方は確かに食感がしっかりあります。左に比べれば結構な差があります。

ただ、それ以上に右を食べたあと左を食べると、全く肉汁感がなく、パサパサしてる印象しかありませんでした。

左だけ食べたときは「あー、ちょっとジューシーさがなくなったかな」程度の印象でしたが、右を食べて左を食べると明らかに右の方がしっとりしていて肉汁感があり、左はパサついてます。

また、漬け汁の味が右の方がしっかり浸みています。

左はそれだけでは薄めの味付けで、ソースを付けた方が良いかなという感じですが、右の方は普通にそのまま食べられるくらいの味が付いています。

恐らく右は肉汁があまり外に出ず、その分漬け汁がしみ込む量が多かったのに対し、左はその後に肉汁が肉の外にしみ出し、漬け汁が一緒に流れ出してしまったような感じです。

結論

今回は同じ条件で調理時間だけを変えてみましたが、牛モモ肉のような脂身の少ない部位ではあまり長時間やりすぎない方が良いということがわかりました。

今回は55.5℃、10時間弱調理しましたが、5~6時間でも充分な気もします。その場合は多少肉が固くなるかと思いますが、取り合えずは、牛モモ肉は10時間以内ということで良いのかと思います。

そうなると鶏胸肉なども24時間とかやらない方が良いのかという仮説も出てきますが、その辺はまた機会があったら試したいと思います。(実際、鶏胸肉を24時間近く調理したことはあり、あまり問題なかった印象ですが、比較してみると違った印象になるかもしれません)

今回はあまり手間をかけずに、単純に終始同一温度で調理するという目的もあったため時間だけの変化で検証をしましたが、次回は途中で温度を変えるなどの手間を加えることでもっと美味しく出来るのかなどの検証をしてみたいと思います。

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