低温調理のススメ
- 2018.09.24
- 低温調理
最近低温調理にハマっています。
もともとはメンタリストDaiGoさんのニコニコ生放送などの動画が面白く、よく見ていたのですが、DaiGoさんの料理番をしている友人のつっしーさんがDaiGoさんと一緒にやっている料理放送(こちらもニコニコ生放送)を見てから、とても面白くてそちらも毎回見るようになりました。
この放送は、研究結果や論文などから科学的根拠に基づいて、素材の栄養素を極力残し、身体に悪いものを極力排除し、素材の持つ美味しさを極力失わない調理法で、毎回オリジナルレシピの身体に良い料理や、身体に良くない料理を身体に良い料理に作り直すレシピなどを紹介しています。
そのなかで、頻繁に出てくる調理法が「低温調理」で、水を溜めた容器の水温を一定に保つ機能を持った低温調理器を使います。
もともと料理を作るのは嫌いではなく、やり出すと凝り性なところはあるので、興味津々、低温調理に挑戦してみることにしました。
つっしーさんの放送で出てくる低温調理器はANOVAというメーカーのもので、クラウドファンディングから始まった海外のメーカーの製品です。
とりあえず興味を持ったものの、2万円でANOVAを買う前に、まずは試しで類似品を買ってみることにしました。結構多くのパチ・・・類似品が販売されていて、失敗してもあまりイタくないくらい安価です。
実際に買ったのはこちら。
ANOVAに比べると機能の不足(ANOVAはスマホで温度や時間をコントロール出来る)はありますが、基本的な「温度を一定に保つ」ということに関しては全く問題なく、価格を考えるとおつりが来るほどの活躍をしてくれています。
そんなわけで、これを使って1ヶ月ほど低温調理をいろいろ試しておりますが、作ったものなどはまたの機会に紹介するとして、今回はなぜ低温調理なのか?というところ、メリットデメリットなどを説明したいと思います。
低温調理のメリット
栄養を極力壊すことなく、身体に良くないものの増加を抑える
なかなか普段意識をすることは少ないかもしれませんが、現代の食生活は「身体によくないもの(悪い影響をおよぼす可能性の高いもの)」というのが非常に多いです。スーパーやコンビニで手に入るものやレストランやファーストフードなどの外食で口にするもので、どちらかというと身体に悪いもの、食べ続けると明らかによろしくないものなどは多くあります。
ただ、一つ擁護しておくと、提供する側の食品メーカーや飲食店は決して「身体に悪いものを出そうとしている」わけではなく、あくまで「美味しいものを出そうとした結果、身体に良くないものが含まれてしまう」というのが本当のところでしょう。また、日本の食品の安全基準がちょっと低いのでは?という側面もあるでしょう。
添加物や調味料などの材料に関しては、それらを使わないようにすることで改善できますが、調理法に関しては低温調理で改善できる部分があります。
食品や調理に使われる調味料などは、基本的に高温で調理することによって劣化したり身体に良くない物質に変化する事が多いです。
例えば多くの食品は高温で調理することによって焦げ色が付きますが、それはタンパク質と糖がくっついて老化や癌の元となる物質(終末糖化産物ーAGEs)に変化します。
肉や魚、パンなどが褐色に色づいて香ばしい香りでいかにも美味しそうになった状態は、実は身体に悪い物質に変化しているというのはなんとも悲しい話です。
おおよそ120℃以上くらいから終末糖化産物が発生するようで、調理が高温になればなるほどこの物質は増加していきます。
低温調理は100℃以下で調理するため、終末糖化産物の発生を抑えることが出来ます。
そのほか、調理に使う油や肉や魚などに含まれている脂肪も高温になると酸化し、発がん性物質や老化の原因となる物質が発生することがわかっています。
特に魚や肉に含まれるオメガ3脂肪酸という脂は、身体に必要な脂であるが非常に酸化しやすいため、せっかくカラダに良い脂も高温で調理することで身体に悪い脂に変わってしまいます。
その他、食品に含まれる栄養素はあまり熱に強くないものが多く、そのような栄養素を極力残す状態で調理するのが低温調理です。
素材の美味しさを損なわずに調理できる
肉や魚には多くの水分とタンパク質が含まれますが、高温で調理することによって水分が抜け、タンパク質は変性します。
玉子を焼いたり茹でたりすると黄身と白身が固まりますが、それが玉子のタンパク質が変性して固まった状態です。
肉や魚でも同じように高温になるとタンパク質が固まり、水分も抜けて固くなっていきます。
低温調理は、タンパク質の変性を抑え、水分の流出も抑えられるので、本来の状態に近い、柔らかく瑞々しい状態を保つことが出来ます。
特にわかりやすいのが鶏胸肉で、最適な温度で低温調理した鶏胸肉はしっとりして柔らかく、おおよその鶏胸肉のイメージとは違う鶏胸肉を味わうことが出来ます。
調理が簡単
低温調理器は設定した温度を一定に保ってくれるので、温度調節を考える必要がありません。
焼いたり煮たり、揚げたりという通常の調理は、基本的に付きっきりになり、状態を確認しながら調理を止めるタイミングを見なければなりません。
低温調理は調理時間自体は長時間かかりますが、調理している間は一切ほっといて良いので、実際やってみるとわかりますが非常にラクです。
僕の場合は、時間のあるときにいくつかまとめて調理したものをそのまま冷凍でストックしておき、食べるときに解凍しています。
低温調理のデメリット
調理に時間がかかる
先ほどのメリットの部分と被りますが、調理の温度が低い分、調理時間がかかります。ただ、調理中は一切気にする必要が無いので、慣れるとデメリットとは感じないと思います。
調理のバリエーションが限られる
少なくとも揚げ物は出来ません。僕自身まだ、レシピの引き出しが少ないのですが、工夫次第で揚げ物以外はなんとかなるんじゃないかとは思っています。
食中毒の知識が必要
個人的には低温調理の唯一にして最大のデメリットが食中毒の危険を孕んでいることだと思います。
低温調理は健康的で美味しい調理が出来る調理法ですが、大前提として「確実に殺菌をしていること」が一番大事なことだと思っています。
検索するといろいろな低温調理のレシピが出てきますが、見ていると「ちゃんと殺菌できてるのかな?」という怪しいものも多いです。
高温で調理すれば殺菌のことはあまり気にかける必要は無いかもしれませんが、低温調理の場合は細菌や寄生虫が死滅する温度付近で調理することが多く、細が死滅する温度に満たない場合、逆に活性化する温度になります。
そこを間違えると、死滅させるはずだった細菌をかえって繁殖させてしまい、食中毒につながる危険があります。
せっかく栄養を残し、素材の本来の美味しさを味わっても、食中毒になってしまっては本末転倒です。
肉や魚にどのような食中毒菌、寄生虫が存在して(可能性があって)、どのくらいの温度でどのくらいの時間調理すれば安全なのかという知識を持つ必要があります。
ちなみに僕のおおまかな基準としては、肉なら55.5℃以上で9時間以上(豚肉は最低でも56~7℃、出来れば60℃)、魚は最低52℃以上でできるだけ生食できるものを使うというのを一つの基準にしています。それに沿わない場合は、事前によく調べておおよそ安全とわかるまではチャレンジしないようにしています。
リスクを踏まえてより身体に良くて美味しいものを
低温調理を一言で言うとそういうことになると思います。
高温での調理に比べ食中毒の危険性は高いので、そのための最低限の知識は必要です。しかし、その見返りとして高温調理では決して味わえない素材本来の味と健康的な食生活を得ることが出来ます。
その価値は充分にあると思いますがいかがでしょうか?
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